税制調査会では、平成22年1月以来、市民公益税制プロジェクトチーム等の5つのプロジェクトチームを設置して、各般の検討を行いました。また、平成22年10月からは、平成23年度税制改正に向けた審議が行われ、平成22年12月16日に、「平成23年度税制改正大綱」(「大綱」)が取りまとめられ、同日閣議決定されました。この大綱の概要は、以下のとおりです。
1 基本的な考え方
「大綱」では、我が国の経済・社会の構造変化に対応し、成長と雇用の実現、社会保障改革とその財源確保といった我が国の喫緊の課題に応えるために税制の抜本的な改革を果断に進める必要があると指摘しています。また、税制全般にわたる改革を通じて、セーフティネットの確立、経済活性化、財政健全化の好循環を促していくとの方向性を示しました。
このような考え方の下で、平成23年度税制改正においては、「デフレ脱却と雇用のための経済活性化」「格差拡大とその固定化の是正」「納税者・生活者の視点からの改革」「地方税の充実と住民自治の確立に向けた地方税制度改革」を4つの柱と位置付け、税制抜本改革に向けた基本的方向性や政府の財政運営方針との整合性を確保しつつ、各般の改正を行うこととしました。すなわち、経済活性化と財政健全化を一体として推進するという枠組みの下で、厳しい経済状況や雇用情勢に対応して、経済活性化や税の再分配機能の回復、地球温暖化対策などの課題に優先的に取り組むとともに、納税者・生活者の視点などに立った改革に取り組み、全体として、税制抜本改革の一環をなす、緊要性の高い改革を実施することとしました。
税制抜本改革については、平成22年10月に「政府・与党社会保障改革検討本部」が設置され、同年12月14日に「社会保障改革の推進について」が閣議決定されました。この中では、「社会保障の安定・強化のための具体的な制度改革案とその必要財源を明らかにするとともに、必要財源の安定的確保と財政健全化を同時に達成するための税制改革について一体的に検討を進め、その実現に向けた工程表とあわせ、23年半ばまでに成案を、国民的な合意を得た上でその実現を図る。」こととされました。
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